産地紹介 機械・金属
産地風景
和歌山では「紀州ネル」として知られる綿ネルの製造が盛んになるに従い、それまで人の手で行っていた捺染・起毛・漂白部門などの作業の機械化が進められていきました。19世紀初めに、木製ローラーによる捺染の機械化が実現。以降、この染色整理機器が和歌山の機械産業の中心的存在となりました。その後、世界的に繊維産業が縮小していくにつれ、繊維関連機器を製作していた企業は他業界への転換をはかり、電子ITなどの新しい分野に進出。創意工夫を重ねながら、現在では世界レベルの技術水準を誇っています。
ものづくりの現場
機械加工、板金・プレス、電気・電子製品など、分野は様々あれども、機械・金属産業を担う各企業に共通しているのは「ものづくり」の精神です。和歌山には、多くの起業家を産み出す機運がありました。志高い経営者・技術者たちは、お互いに絶えず切磋琢磨し、オンリーワン企業を目指す取り組みを行うことで、産地全体を興隆していきました。各企業が繊維機械や木工機械づくりで培ってきた技術は、対応領域をさらに広げ、現在ではコンピュータ制御横編機、写真処理機器、自動捺印機、精米機、検査機器など、あらゆる分野の機器に応用されています。また、生産性の向上とサスティナビリティ、双方の観点から、材料ロスや人件費ロスを減らす取り組みを積極的に行っており、手作業を自動化させる技術開発と仕組みづくりに尽力しています。
新しい価値の創造
和歌山の機械・金属産業の強みは、多様化する消費者ニーズへの対応力です。例えばダイカスト鋳造技術を用いた小型エンジン用遠心クラッチや、金属ナノ粒子インク専用インクジェットプリンター、一台でニット製品を縫製することなく編み上げることができる横編み機、光輝焼鈍炉で行う無酸化焼きなましによる熱処理技術など、和歌山でしかできない生産体制や高い技術によって作られた製品の数々は、日本の産業におけるサプライチェーンの中の重要な部分を担っています。付加価値の高いこれらの技術は海外からも高い評価を受けており、その知名度は世界へと広がっています。