産地紹介 化学
産地風景
和歌山の化学産業の歴史は、今からおよそ100年前にはじまりました。染色業を営んでいた由良浅次郎氏が、日本で初めてベンゼン精留装置を製作し、染料の原料となるアニリンの製造に成功したのです。当時の日本は、染料を主にドイツからの輸入に依存しており、第一次世界大戦勃発後に輸入が途絶えたことによって苦境に立たされていました。このアニリンの工業化は、日本の合成染料工業の基礎を築くとともに、和歌山の地場産業として化学産業が大きく発展するきっかけとなりました。
ものづくりの現場
和歌山の化学工業メーカーの多くは、合成染料の製造からスタートしました。繊維産業の発展とともに、より高品質で発色のよい染料や顔料などが和歌山で盛んにつくられるようになりました。当時の技師たちが培った技術とパイオニア精神は、その後若い技師たちに引き継がれ、さらに高度な化学処理技術へと進化。高分子化合物や中間体など様々な化学製品を独自で開発する企業が次々と生まれ、ファインケミカル分野にも大きく生産領域を拡大しています。現在では、染料、顔料、情報電子機器材料、医薬中間物、農薬中間物、繊維関連品、食品素材など、多岐にわたる製品を開発・製造しています。
90秒で見る和歌山ものづくりの魅力
新しい価値の創造
和歌山の化学工業界は、小規模ながらもオンリーワンという企業が多く、多品種少量需要型の中間物を主体とした、より専門化した事業を展開しています。独創的な技術を強みに、各社ともに業界トップクラスのポジションを確立。近年では航空機や宇宙分野などの最先端分野においても、国内外から高く評価されています。また、環境問題や省エネへの取り組みも積極的に行っており、原料の天然物へのシフトやバイオプロセスの研究など、持続可能なものづくりのための技術開発を推進しています。