産地紹介 家具
産地風景
和歌山は古くから紀州「木の国」と歌にも詠まれるように、林業が盛んな土地でした。近代の交通網が発展するまでは、県内を流れる紀の川は舟で重量のある原木を運ぶ輸送路でもありました。高野桧や奈良の吉野杉、桐など良質の木材の集積地であり、また和歌山の海岸から、それらを大阪と江戸の二大商圏に送り出すことも容易だったのです。紀の川の沿岸は家具産業を発展させる素地となりました。1850年に和歌山城の天守閣が再建された際に「長持ち(収納ケース)」などがつくられたとの記録が残っており、箱物を製作する技術があったことがうかがえます。また、江戸末期の文書によると、江戸時代には箪笥の製造技術が確立し、生産が行われていたようです。
ものづくりの現場
他の家具産地が大量生産によるコストカットや納期短縮のために機械化されていく中、職人の丁寧な手しごとが産地の品質を支えているのも和歌山の特徴です。また、和歌山には国の伝統的工芸品として指定されている紀州箪笥があります。桐特有の上品な木肌と美しい木目に加え、高い防火性と防湿効果、防虫効果で古くから着物や貴重品の保管に最適な家具として重宝されてきました。次世代の後継者は技法の伝承に努めるだけでなく、桐の特性を多くの消費者に知ってもらうために箪笥以外の製品を手がけるなど、斬新なアイデアで時代に即した新たな道を開拓しています。
90秒で見る和歌山ものづくりの魅力
新しい価値の創造
生活様式や消費者ニーズの変化に対し、各企業はそれぞれの持つ高い技術を活かし、モダンなテイストの部屋にも馴染むデザインの家具や雑貨など、これからの暮らしにフィットする製品づくりに取り組んでいます。無垢材や突板、ステンレス、天然石、人工大理石など、それぞれの素材の特性を知り尽くした職人が、デザインから組み立て、加工、塗装まで、すべてを一貫して製作。また、紀州箪笥の認定伝統工芸士の匠の技をわかりやすく可視化することで、職人の存在にスポットが当たるようにもなりました。これからも高度な技術と美しいデザインにより、暮らしを豊かにするための提案を行っていきます。