産地紹介 パイル
産地風景
旧高野口町を中心に橋本市、かつらぎ町、九度山町にまたがって形成されるパイル産地。日本で唯一の総合パイルファブリック産地であり、世界的にも珍しい産地として知られています。産地である高野口には特殊な織機を有する企業、染色工場や加工場などの関連企業も集積しているため、様々なニーズに対応できるほか、優れた企画開発力でも注目されています。タオル以外のパイル生地ならなんでも揃うのも、パイル産地である高野口の強みです。
ものづくりの現場
パイルファブリックと一口に言っても、その種類は様々です。アパレルブランドで衣料として利用されるエコファーのほか、寝具、ソファなどのインテリア、車や新幹線のシートに使われるベロアやモケット、液晶テレビのパネル用のラビングクロスといった工業用製品など多岐にわたります。高野口産地で生産されるパイルは基布にパイル糸(毛)が織り込まれた3次元構造の立体的なものが主流です。肌触りが良く、細糸で高密度に織りあげる薄手のベルベットコットンを織ることができるパイルメーカーがヨーロッパで減少していることもあり、国内はもちろん、世界各国の高級メゾンからも依頼を受けています。大量生産ではなく、独自の技術や加工法で付加価値を高め、品質で勝負をしています。それぞれの企業が個性を伸ばした結果、競合せずに産地全体で共栄しているのも特徴のひとつです。
90秒で見る和歌山ものづくりの魅力
新しい価値の創造
世界的ラグジュアリーブランドによる「ファーフリー宣言」の影響もあり、リアルファーのかわりに上質なエコファー・フェイクファーの需要が高まっています。ジャパンエコファーの商標を取得するなど、リアルファーと同じクオリティを目指した製品だけでなく、リアルファーにはできない加工を施した製品開発にも取り組んでいます。また、これまで生地という中間商材を生産してきた業界ですが、今後は化粧用パフや服、雑貨などエンドユーザーに届く製品づくりにも注力していきます。