産地紹介 紀州雛
産地風景
1960年頃、和歌山が日本人の新婚旅行の定番として知られた時代があります。風光明媚な万葉の地・和歌浦や温泉旅情にあふれる白浜、那智勝浦など、各地を訪れるカップルの和歌山土産が「紀州雛」でした。海南市黒江の伝統の木地と漆芸を活かした大小、形も様々な雛人形がお土産として珍重されました。今もその名残をとどめ、紀州を代表する工芸品になっています。
制作風景
大きいもので高さ13.5cm、小さいもので4.5cmの紀州雛。大小に関わらず、手間と時間と愛情は一緒。基本的には、伝統的な紀州漆器の工程と同じで、木地師が木(エゴノキ)を削って形を作り、塗師が下地を施して本漆で上塗りします。そこから絵付け師による絵付け。1体に使う色は7色程度。1色塗った後に1日乾かし次の色と、塗り重ねていきます。
漆は気温や湿度にも左右され、1体完成させるのに2週間〜1カ月。職人の丁寧な仕事で、大切にすれば何十年と色あせることがなく、艶と味わいが増します。