産地紹介 建具
産地風景
古くから紀州「木の国」と名高い和歌山は、杉や桧などに恵まれた林業が盛んな土地でした。近代の交通網が発展するまでは、重量のある原木は舟に積み、県内を流れる紀の川から運んでいました。良質の木材の集積地であり、また和歌山の海岸から、それらを大阪と江戸の二大商圏に送り出すことも容易だったため、紀の川の沿岸では木材業や建具産業が発展していきました。1860年頃、和歌山城下に大工の下請け職人として5軒ほどの建具業者があったといわれます。紀の川を利用して運ばれてくる吉野杉の端材で建具をつくり、大阪へ搬送しだした1870年頃に独立した業種となりました。
ものづくりの現場
和歌山は和洋建具の産地であり、伝統的な製品に加え、現代のライフスタイルや建築様式に合わせた製品づくりを行っています。地元の木材を活用し、他産地との差別化を図るべく、有害物質の出ない人に優しい製品づくりや、間伐材を有効利用した環境に配慮した製品開発に取り組んでいます。長きにわたり、大手住宅メーカーからの受注を受けて製品づくりを担う一方、独自のブランド製品を発信していくことで、近年はインテリアとしてのアート作品的価値が、住宅販売や建築業界以外からも注目されています。
90秒で見る和歌山ものづくりの魅力
新しい価値の創造
生活様式の洋風化による消費者ニーズの変化、資材の開発、海外製品の台頭などにより、和歌山の建具業界は転換期を迎えています。各企業はそれぞれの持つ高い技術を活かし、これからの暮らしにフィットする製品づくりに取り組んでいます。デザイン部分をアウトソーシングすることで、ブランド力を強化。家庭用に留まらず、商業施設やホテル、旅館、料亭といった日本の観光業に関わる空間づくりへの貢献が期待されています。海外の展示会では建具の持つ機能性に加え、その芸術性も評価されています。伝統に新たな価値を加え、海外へも販路拡大を目指しています。