産地紹介 皮革
産地風景
皮革産業は和歌山でも最も古い産業のひとつとされ、その歴史は約400年前に端を発すると伝えられています。近代皮革産業の発展は1869年に皮革製の軍靴の自給を目指したことによって幕を開けました。1870年、近代日本の誕生に大きな役割を果たした勝海舟や坂本龍馬とも縁の深かった和歌山出身の政治家・陸奥宗光が全国に先駆けて現在の和歌山市本町二丁目に「西洋沓仕立」並びに「鞣革製法伝習所」を開きます。また、ドイツから革細工師と靴工を招聘し、技術の向上に注力しました。現在では兵庫県、東京都と並び、日本の皮革三大産地に数えられている和歌山。特に床革とエナメル革を扱う企業が多く、その専門性と高水準の加工技術は国内外から注目されています。
ものづくりの現場
和歌山で生産される革は、国内外の各メーカーで製品加工される前段階のものがほとんどです。牛革を扱う企業が最も多く、その他に羊や鹿、馬革を扱っています。これらの革は、バッグや財布、靴、ジーンズのタグ、一流スポーツ選手が使用するグローブやスパイク等へと加工されます。一般的には分業するのが当たり前とされる製造工程において、一社で原皮からなめし加工、染め、型押しにいたるまでを一貫して管理する企業もあり、特徴のある製品づくりができるのも和歌山の皮革産地の強みといえるでしょう。
90秒で見る和歌山ものづくりの魅力
新しい価値の創造
和歌山県製革事業協同組合は、東京や上海など国内外のレザーフェアに定期的に参加し、和歌山レザーの発信に努めています。国内外の一流ブランドやメーカーからの依頼にも対応していくことは、伝統の技法を受け継ぐだけでなく、新技術の研究開発にも積極的に取り組むきっかけとなりました。また、循環型の社会の形成を念頭に、環境問題にも取り組んでおり、人と環境に配慮した和歌山のオリジナル環境対応革を製造しています。今後も機能性と風合いの両面で世界のニーズに応え、販路拡大を目指していくと同時に、和歌山県工業技術センターと連携し、環境に配慮した製革技術について研究を続けていきます。